美術の授業はインタラクティブなものである

大体クラスに一人、たまにしか学校に来ない子がいる。
今は絶対評価の時代なので、こういう子でも芸術教科はテストの時だけでも出てきたり、作品だけでも提出すれば少なくとも2はとれる。5教科がどれもだいたいひどいことになるので、バランスをとる意味で芸術教科がちょっと上がる場合も多いと思う。

ただ難しいのが、美術ってのは課題を与えたその時から「先生これはありですか?」「先生〇〇を使いたいですがいいですか?」「先生、その方法じゃできません!」とかいう言葉を受けて、ん、わかった、じゃあこうしよう、というふうにじわりじわりと路線が変わったり、ぼんやりしていた部分が定まったりする。

それは非常にスローな変化なので、よほど自覚的にやっていないとこちらも気づかない。しかしたまに出てくると「こないだと何かが違う!」ということになってしまうのだ。それでクレームになったりもするんだけど、正直「じゃあ出て来いよ」と思う。

別に他の子とちょっと毛色の違うものが出てきたなと思ってもそれで減点はしないし、一問一答式のテストをやってるわけじゃないんだから、まわりの子の製作の様子を見て刺激されることもすることもある、それも含めて授業なので、やっぱり「じゃあ出て来いよ」だ。せめて最初の5分でもいいからその場にいれば、変化がわかるんだよ。それを味わわないで作品だけ出して他の子たちと同列に評価されようっていうのは、どうなの?

っていうと一人一人の個性に配慮してないということになるかもしれないが、大教室で行うスタイルの授業には、それなりの限界があるのだ。授業者は一人だしさ。学校の言うことってやっぱり影響大きくて、すべての才能を評価しているわけではないんだけど、生徒は学校でこう評価されたから、これが自分の限界だと感じてしまうことが多い。でも学校は学校でしかない、大人になってから自分を教育しなおすチャンスもあるということは、もうちょっとわかってもらいたい。
あと「〇〇は大事なんだから学校で取り入れるべきでしょう」っていうのもう勘弁してくれ。そう思うならあんたがやんなさい。