道立近代美術館にいってきた

850円の質素な娯楽である。
毎年ここは冬休み期間中、子どもをアートに親しませるというか、アートオタクに洗脳するためのイベントをやってるのだが、今年のテーマは動物である。こりゃいかんといかん。
私の目当ては竹内栖鳳の「家兎」(かと)。この人は斑猫が有名だが、この家兎もよかった。ふわっふわでほわっほわで体温〜〜〜〜〜できゅるりんのふっふっふっである。ついでにもぐもぐもぐもぐもぐもぐも(続)。その隣にあった福田翠光の猫もさすがの気品、あとデューラーの十字架が頭に生えた鹿。松樹路人も私の好み。逆に悪い意味で気になったのは岩橋英遠の「最北の人」。技術は古典、構図がモダンという趣向の屏風なのだが、なんというか、下手じゃないけど強くない。そのくせ作品サイズだけはでかい。パッと見の印象は「中途半端な成金感」。今回の目玉のひとつなのだろうが、つまらんものを見せられた。全体としてパワーの落ちた感のあるイベントだった。最後に見たのは15年前、食べ物をテーマにしたものだったが、まとまりのなさはあるものの、圧倒的にパワフルだった。ボランティアスタッフの無知・無学さには閉口したが。今回はそもそもそういう人員もなく、収蔵品を使いまわしてる感も強く、客入りも非常に少なく、その気になれば簡単に作品を破損・持ち出しできそうであったよ。道立でこの規模か。寂しいのう。キャプションも手抜きぎみ。空間もちょっと空いている・・・。しかけも少ない。動物で子どもを呼べなくなったらもうダメじゃないか?
そしてお約束、ミュージアムショップのグッズは軒並みぼったくり値段でしかもそれほど魅力がない。館内のレストランもいまいち。高い割に平凡で、企画と連動したメニューも味の創造ができてね・・・。向かいにあるカエルヤ珈琲は札幌の喫茶店の穴場。カエル好き(もしくはいやじゃない)人は行くべし。ランクの高いメニューの「殿様珈琲」ってネーミングは秀逸!

カエルヤ珈琲(勝手にリンクをはる)
http://kaeruya-sapporo.com/

SHINPACHIRO(またも勝手にリンク)
http://www.shinpachiro.jp/

違う方向の向いにあるSHINPACHIROはイギリス雑貨の店。ここで低速織機でおられたタオルを購入。ここもよかった。しんぱちろうは飼ってる犬の名前なんだって。

それにしても、画面に動物がいる、という以外になんの共通点もなく、全点を通してみたときになんの発見も感慨もないのが寂しい企画だった。良くも悪くも主催者の主張が伝わらない。最初は、描かれた動物を俯瞰することが、歴史と文化を俯瞰することにつながるのかとも思ったのだけど、どうもそうでもないらしい。そこまで深いものではなかった(あるいは説明が不足していた)。子ども向けのイベントにそこまで必要ないという人よ、あんたと飲む酒はきっと不味かろう。子どもに向けてこそ、大人は本気を出さねばならん。

余裕と手抜きは別だ。