産め産め言われて40年

無視し続けていたら「マタニティ・ハラスメント」という言葉が最近ではあるのだそうな。妊娠したことに対する周囲の外圧だって。なんかもう超今さら。

実際妊婦は職場では邪魔だ。妊婦に対する保護が日本一あついのは公立学校であるが、そういうところでさえ、産休に対する満足な欠員補充はできておらず、負担は他の職員の肩にかかってくる。そりゃそうだ。補充要員はあくまでその時だけの人員なんだから、ベテランが来るわけじゃない。隣の教員住宅に住む妊婦が順調に月を満たしてゆく間に、私は過労で倒れそうになっていた。しかもこいつ、出産したら職場やめたんだぜ。当然それまでは月給も出ていたし、夫も教員だったので生活の保障はあるのだ。もらうだけもらってトンズラですよ。そういう人はサラリー返還すべきじゃないの?教育委員会も「辞める気で妊娠してるなら、妊娠した時点で辞めてほしい。復帰するというから、こちらは正規職員ではなく非正規職員を手配するのだから」と言っていた。それが倫理だと思う。非正規社員夫婦が借金しながら出産・育児する一方で(それも気狂い沙汰だと思うが)こういう人たちもいる。ほんと、教員に組合活動なんていらないと思う。

昨年まで働いていた会社でも一番仕事のできない女が妊娠して、それまで使えなかった女がさらに使えなくなって、とにかくすぐに「気持ちが悪い」と言ってバックヤードにひっこんでしまうため現場はしっちゃかめっちゃかだった。冬場は足がかじかむほど冷える職場だったし、こちらも気を使って仕方がない。「流産されたらと思うと気が気じゃない。人を補充するか、でなければ配置換えしてほしい」と会社に何度か言ったのだが「本人が働くと言っているし、法律的にも辞めさせられない」とかで、臨月で辞めてゆくまで地獄を見たのは私たちだった。産んで辞めた後、のうのうと赤子の顔を見せに来たけど、来なくていいよ。この「産んだ子を見せに来る」神経も私には理解できない。朝青竜みたいな子にキラキラネームつけてたのもどん引いた。こういう神経の太い人だから、そういう働き方が出来たんだろうけど。

妊娠と労働はどうしても相容れない。どこまでも相反する。そしてそれを完全にカバーできる職場などないのだ。妊娠だけなら1年程度ですむだろうが、その後の延々と続く育児の期間だってある。マタニティによる職場への打撃があるのは確かだ。勿論個人の問題ではなく組織の問題だし、そこをみんなで乗り越えるシステムを作らねばならないということなのだろうし、一部のこういう非常識な妊婦以外に数多の「まともな神経を持っている」がゆえにプレッシャーにくじけて出産をあきらめたり、健康を二の次にして流産する妊孕世代になんとか産んでもらうことが必要、というのは理屈ではわかる。理屈ではわかるが、感情面でどうしても理解したくないんだ!それと同じくらい、「まともな神経を持っている」がゆえに妊婦をとりまく周囲の人間が疲弊しているのだ。私は一度も子どもを産みたいと思わなかったし、もはや産まない年齢になった。それが「お前らが産まないからこの国が云々」と言われ続けて、妊孕性を失った頃「マタニティ・ハラスメントが」ですよ。やってられるかバーカ。

私は協力しないから、皆さんどうぞやってください。国民の再生産について、私は今後、出来うる限り関わらない立場をとります。

本当に、以前から不思議だったんだけど、中絶件数は依然として高いままなんでしょう?こういう子たちをどうにかして誕生・成人させる方向性はどうして進まないの?養子縁組のシステムも今後なんだかよけいに難しくなるんだっけ?結局は労働者・納税者をキープしたいわけでしょ?正規の婚姻関係内に産まれた国民でなくてもいいんじゃないの?どうしたって外国人労働者や移民には任せられない職種というのもあるのだし。