自力で便を出した

夜の見回りを追えて布団にやってくるとき、私の上で仁王立ちになって虚空を見つめ、のどを雷のようにならす。
「我が人生に悔いなし!」とばかりに。そしてそのままスフィンクス座りをするから前足で私の鼻やら頬やら時には目を踏むことになる。
20年かけて、私と猫が縮めた距離だ。

よくペットは家族って言葉を使うけど違うと思う。
その言葉には家族なら最初からそこに愛がある前提だけど、そんなの違うじゃん。
私たちは20年かけて、目を踏んでもトイレ掻いた足で頬を押しても相手が怒らないっていう安心感を築いたの。
日中どんな処置をしても、夜には私の布団に来る。

世の中の何割かの親子は一緒の布団でなんて絶対寝たくないっていう不信や嫉妬でぐるぐる巻きになりながら狭い箱の中にいるよ。