オルテ実験帝国

一個前の岡田さんの問題についてのエントリ、昔からの知人から
「そらあなたが昔九股とかしてたからそう思うんじゃないの」
というつっこみが。
「いやでも、私は最初に相手が社会的弱者じゃない点を確認して、面接もして、一対一のおつきあいじゃないこととセーフセックスが絶対だって点をちゃんと説明してたし。あと私より家庭を大事にすることって厳命してたし。」
「で、そのうち一人がストーカーになって大変だったよね。」
「ストーカーとはちょっと違うけど。」
「どっちにしろうまくいかなかったよな。」
「お、おう・・・。」

まあ、厳選に厳選を重ねても難しいもんである。しかし「こういうのってフィーリングかな」とか思って厳選の過程をすっとばすともっとダメなんである。今まで付き合ったことのないタイプを求めるのもダメでした。私は相手の語学力を一つの目安にしていた。私が確実に見抜けるのがこれだけだから。しかし英語しかできないほんとにただの英語屋というのも世の中にはやっぱりいて、なかなか感慨深かったが話がつまらないのといろいろセンスが悪いのが目に余って早目にフェードアウトした。あと教養ある虚言癖には難儀した。が、よくよく観察すると虚言癖の人というのはやはり、それ以外にどこかが、何かが破綻している。

最初は選別する側に立つのが楽しかったし、私の容姿では相手が断りを入れるということはほぼないので、まあ、楽しかったのである。だがそのうち、女は男と違ってムダ毛の処理とか下着のバリエーションとかいろいろあるので、そんなことにコストかけるなら野菜をひとつ多く買いたいとか、資格の勉強するヒマないやんけとかそういうことになり、すっかり面倒くさくなったのと、やっぱり一夫一婦制幻想の力を借りないと老後まで生きていけないな、と思って全員整理整頓してしまった。奇妙なもので、まったく私に執心してなかったように見えた男がじめじめと食い下がったり、いい距離を保っていたような感じだったのにお互い泣きの涙で別れたり(じゃあそいつと付き合えよという声もありそうだが、そうはならないのも人生である)。
それにしてもセーフセックスに対する男性の意識の低さはすごい。あ、そうだ。自分でゴム用意するのがあほらしくなったってのもあった。

その後婚活して結婚(というか事実婚)するも破綻して自殺寸前まで追い詰められ現在も服薬治療中なのは大体皆さんの知ってるとおり。結局、計画性と思想だけで一定以上の深い関係になることはできないのである。どうしても相手に情を求めてしまうし、お互いが相手にまったく何も求めなくなったら自分ではいいと思っていても、「場」が次第に空疎なものになる。

関係性の不自由さと理不尽さを、引き受けるところからしか進めないのだけどもうこの齢になるとめんどくさいからそろそろ戦線離脱するかなと。女として最後の旬を肥満と病気で無駄にした感があるな。私は、本来的には私が若さと容姿によって選別される側の性であることを自覚していますよ。

自業自得という人もいるだろうが、それとこれとはまた別である。自業自得だと思う人は「同時に複数の相手と(自発的に)性交渉する女は罰を受ける」という迷信を内在化している。

強制的に複数の相手とセックスさせられると輪姦であり女性の傷は「一生消えない」とされ(それは誰が決めるんだ)、自発的に複数の相手とセックスするとその女は淫乱であり「罰を受ける」。どちらにしても女はスティグマを刻印されるというシステムだ。
隠すことでもないが自慢することでもない。私の体をはった実験は、経済的弱者であり妊娠のリスクに常にさらされる女に性の自由はない、という当たり前の結果を出して終わった。