地獄の終わり

13,14,15の一年で一番忙しい三日間が終わった。国内ツアーはあまりいなくてほとんど海外ばかり。
毎年思うのだけど、日本ってバカンスシーズンに終戦とか原爆記念日とか重なってるせいで戦後68年にわたって観光業界の経済効果が伸び悩んでるんではないだろうか。そもそも日本のバカンスシーズンは春と秋なのかもしれないけど、それにしたって戦死者を忍びながら休暇を楽しむのはどうにもちぐはぐだ。そりゃ原爆のことは語り継がねばならないけれど、その時期が今って。いや、今そういう話題を出すなと言いたいんじゃなくって、結局はめぐりめぐってすさまじい経済打撃を受けてるんじゃないの?戦争ってやっぱものすごい損なことなんじゃないのということ。戦後の焼け野原から復興したエネルギーがいくら素晴らしかったからって、太平洋戦争がそもそもなかったら、日本の観光業はもっと儲かってたんじゃないのでしょうか。誰かそういうの研究してる人っていないのかな。終戦の季節に旅行になんか行く気にならないって人が日本にどれだけいるか、ニッパチがどうとかじゃなくって、気分的な問題として。別に日本だけでなくてもいいけど、たとえばドレスデン爆撃(その当日の死者数だけ見るとヒロシマ以上と言われる)の日前後にはドイツで旅行業が落ち込んでるかどうかとか。そういうの調べて数字にしたら、戦争抑止力になるんじゃないのかしら。「戦争すると、そのあと100年ちかくこういう損をするんだぞ」っていう。私が言うまでもなくなんかそういう専門的な統計って出てそうな気もするけど。

最近ひょんなことから、今までたいして知らなかった(そして興味もなかった)元寇の話をいろいろ聞いちゃって、そしたら韃靼人の踊りを見たいと思わなくなったもの。「称えよハーン」とか言われると、どうしても連想するし。800年前のことでもそういう効果ってあるのだから。

それはそれとして、私が小学生の頃ってけっこう自由に先生が反戦教育してたんだけど、日本がどれだけ悪い国だったかをさんざんに叩き込まれて「どうしてこんな国にうまれちゃったんだろう」「私はこんなに悪い国の国民で、ほんとにこの先どうやって生きていったらいいんだろう。しかもなんだか国際化の時代らしいし。」ってずっと思ってたんですよ。小学4年生で天皇の戦争責任を主張する同級生までいたし。こういう日本人を育てられて先生方も満足であろうと思うのだけど、そういうことをしちゃったせいで、結局、のちのち「日本人はひとっつも悪くないんじゃ!」というバックラッシュがきてるんじゃないだろうか。あんまり「お前らは極悪人の子孫だ」って言いすぎるのもどうかと思うよ。ていうか、戦争責任を強調しつつ「国際人」を育成ってちょっとすごくない?世界に向かって「なんでもします!」と五体投地するような日本人を育てたかったのか。あの当時「日本人である私に生きる資格なんてあるんだろうか。」って思った子どもは私だけじゃないと思う。

「日本はすごく悪いことをした」って言いながら「アメリカは原爆投下というとても非人道的な措置を云々」と言いながらはだしのゲンを読ませつつの「これからは国際貢献の時代」。これが20世紀末の学校教育だったのだよね。
そしてそういう先生たちが悪い先生たちだったかというと、それはまったく別の話で、私は担任の先生にはすごく恵まれました。

ついでに、原爆について最初に詳しく知ったのは「ヒロシマのうた」(今西祐行)で、人生で最初に持った明確的な目標は「いつかアメリカに原爆を落とす」だったこともちょっと書いておく。「でも、戦争が終わってから生まれた子どもだけ助けるにはどうするか」とか「いやでもアメリカは子どもも巻き添えにしたんだし」とか「悪い人だけ殺すにはどうしたら」とかその後1年くらい色々考えたことも書いておく。子どものころの話です。