さいはての神保町

正確に言うと私が住んでるのはまだぜんぜん最果てではないのだが。

自宅を拠点に、車で行ける範囲のカフェ、喫茶店は全部行った。もうほとんど壊滅状態と言えるほどのひどさなのだが、ひとつだけいいところを見つけた。

美幌町 喫茶室豆灯(とうとう)。
http://tabelog.com/hokkaido/A0110/A011001/1007560/

スタッフは舟を編んでそうな男性とオリーブ少女系の女性。二人とも清潔な文化系のヒトって感じで、好感が持てる(とても大事なところ)。ここ、なんかカフェのコンテストかなにかでそれなりに上位に食い込んだ実績があるらしい。
味は中の上というところで「うわすっげーうまい!」というほどではないのだが、とにかく全体のセンスがいいのである。神保町をミニマルにして一軒家に詰め込んだ感じ。神保町のどこの古本屋だか具体的に言ってみろとかは言わないでくださいよ。アンティークの家具や内装が主張しすぎることなく、かといって単に古いだけでなく十分に清潔で素晴らしい。なにげに欄間がすごい。書棚に並んでいる本のセレクトもいい。昭和30年代の児童向け百科事典が色々と表現に問題があって、読んでてとても面白い。ジャズ喫茶としての顔も持っていて、BGMはレコード。よくわかんないけど、いわゆる名盤ってやつ?なんというか、都会の出島って感じがする。手作りっぽいキャンドルも売ってるけど、それがまた主婦の片手間くさい安っぽいやつじゃなく、安心のクオリティなのだ。私は火の元買わないけど。

器、什器、BGMのひとつひとつが、浮くことなく収まるところに収まっているのがこの店の一番すごいところ。コンセプトは伝わってくるけど、それにしちゃこのスタッフの服装はどうなのか?とか、フードとドリンクの器がミスマッチすぎないか?とか、そういう根本的なセンスの問題が、このへんのカフェもどきの最も致命的なところなのだ。建物は味わいある木造でいい感じなのに「ちゃんぽん」ってのぼりがたってたりとか。あと「うどん」とか。そういうところをちゃんと感知できる人が経営しているというのが、ここ以外とこことの越えられない差である。コーヒーミルクもフレッシュじゃなくピッチャーで出してくれるのが素晴らしいです!もう泣きそう!

もうちょっと茶菓子があるといいんだけどなあ・・・。あと、スコーンのクリームはもっと景気よく・・・。クリーム食ってんだかスコーン食ってんだかみたいな感じで・・・。

何度かうろついてみて、美幌はまだまだ個人商店が生きていて面白い街だなと思った。てておやは美幌が何故かお気に召さないようなのだが、私は好きだ。